教養

「ちっちゃい赤ちゃんがいるの」

その場に父親である僕はいなかったので、僕の奥さんからの話になるのだけれど。。。

先週のある朝、ママ(奥さん)と娘の二人で朝食を食べていると、娘が唐突に、
「ちっちゃい赤ちゃんがいるの」
と言ったらしい。

アリさんの赤ちゃんのこと?(娘はアリの行列を眺めるのが好きなのだ)

・・・そうママが尋ねると、

「ママの赤ちゃん」と、娘。

 


どうやら娘には、何かが見えているらしかった。

どこにいるのかとママが尋ねるとどうやら、椅子に座っている娘の左右に一人づづ、「ちっちゃい赤ちゃん」とやらがいるようだ。
それも男の子と女の子が一人ずつ。娘が手のひらに乗せるような仕草をしたらしいので、よっぽど小さいのだろう。それこそ豆粒くらいに。
そしてそれはママの赤ちゃんなのだと、そう言っているのだ。

なにか冗談で言っているようには見えなかった。
それに、こういう話題は初めてだった。

娘はこのようなとても不思議なことを、さも自然な日常の出来事を話すように、ママに話していた。
いつも保育園での出来事を説明するかのように、とても自然に。

塵のような小さな虫さえも泣いて怖がる娘が、その「ちっちゃい赤ちゃん」を怖がっていなかった。
きっと娘にとってこの出来事は、たぶん不思議なことでもなんでもなかったのだと思う。

それは視覚的に見えているのか、それとも視覚以外の何らかの感覚で感じているのか・・・

・・・・

その後、その週末の土曜日。

家族で近くに駅ビルに出かけ、ビュッフェでランチをしているとき。
僕は娘と2人きりになった。

テーブルを挟んで斜め前にいる娘が、僕の隣の方を指さしながら、言った。

娘「あかちゃんがいる」

僕「あかちゃん?」

娘「ぱぱのあかちゃん」

内心、僕は「お!」と思った。先日の、奥さんとの話を思い出して。

娘が指を差す方を見ても、そこには誰もいない。
僕は壁を背に座っていたので、僕の背後にはだれも通る事のできるスペースはなかった。

どこにその「あかちゃん」とやらがいるのか分からなかったので、僕はテーブルの上を指さしながら、ここにいるの?…と聞いた。

「ちがう、そこ」

僕は自分が座っている長椅子の、自分の隣を虚空を指さしながら、もういちど、ここ?…と聞いた。

「うん」

「男の子?女の子?」

「男の子」

「かわいい?」

「かわいい」

そこでママが戻ってきた。
娘は隣に座ったママの隣を指さしながら、「ママのあかちゃん」。

ママ「男の子?女の子?」

娘「どっち?」

ママ「ははっ、ママが聞いてるに?(笑)」

・・・と、そんなやりとりがなされた後、食事が始まった。

子供は生まれる前に、その両親となる人の事を見に来るという話しもある。
見に来たのかな??
そんな話しを奥さんとしながら、未来の子供に思いをはせる。

その時、奥さんは梅干しを食べていた。

(これでほんとに妊娠とかしてたらまじびびる。)

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