ヨコオッサンは、スダチを追加で注文した。
すだちだよ。あの、緑の丸い柑橘系。
そこは東京駅近くの、ラーメン屋。
ヨコオッサンは、僕の職場の同僚。僕と同じオッサン。
東京駅近くで仕事をしたある日、ヨコオッサンに連れられてラーメン屋に行った。
僕は普段、あまりラーメンは食べないのだけれど。
ヨコオッサンと話をしたかったと言うこともあり、付いていった。
そこは、東京駅の八重洲方面にあるラーメン屋「つじ田」。
事前に券売機で注文するタイプ。
ヨコオッサンはつけ麺と、そして、別途すだちを注文していた。
すだち?
ラーメンに?
と、ちょっと頭の中にハテナが浮かんできたが、僕はあまり気にせずその場はスルーした。
つけ麺が売りらしいので、僕もつけ麺。「濃厚豚崩しつけ麺」。
もちろん、すだちは頼まない。
L字型のカウンター。そこにはお客さんがズラッと。僕らで満席になた。
程なくして、まずラーメンのスープが目の前に。
そして、麺。
で、なぜか麺の上に“すだち”が。半分に切ってあった。
ああ、デフォで付いてくるのね。
カウンターの前にラーメンが食べ方が書いてあった。
そのまま食べる。
↓
すだちを絞って食べる
↓
黒胡椒を振って食べる
だいたいこんな流れ。
僕はこういうのは、素直に従う方なので、まず普通に食べた。
おいしい。
照明に照らされて黄色く光る麺は、見た目からしてとても綺麗に見えた。
三分の一とほど食べて、”かぼす”を絞り、麺に掛ける。
柑橘系の良い香りが、鼻をくすぐる。
麺を混ぜ混ぜ。
で、それをスープに付けて食べた。
「おっ」と思わず声が漏れる。
「ヨコオッサン、これうまい」
濃い味のスープに面を付けても、すだちの風味がそのスープに負けず、口に入れた麺から鼻の奥にすだちの香りが広がる。
ちょっと衝撃だった。
柑橘系の香りのするラーメン、って自体が珍しく、ラーメンのスープとすだちが、凝んない相性が良いとは思わなかった。
次に、黒胡椒。
黒胡椒を掛けるとまた、酸味にさらに辛味が追加され、これもまた良い。
そのまま食べる。
↓
すだちを絞って食べる
↓
黒胡椒を振って食べる
スープとスダチの相性もしかり、この食べ方しかり、もう完成されたラーメンと言えた。
最後はスープ割りを作って貰い、そして完食。
ふと背後を見ると、外に列をなすお客さんが見えた。
なかなか繁盛しているらしい。でも、ラーメンを食べた今なら、納得。
「めっちゃうまいっすね!」
ヨコオッサンと二人、絶賛しながら帰路へ。
今やすでに、僕は三度通った。
二回目の来店からは、当然、すだちを追加で注文。
ラーメンのスープと柑橘系、この組み合わせはほんと絶品。
きっとまた来る。