花粉症 身体のこと

敏感なセンサーにヤスリ掛けてやりたい。

多少鈍いくらいが生きやすい(花粉症とかね)

以前、僕は錦糸町に住んでいた。そんなに大きくないマンションに。
一人でシャワーを浴びている時、急に大きなサイレン!
マンションの廊下に付いている非常ベルか何かだったと思う。

今は奥さんとなった当時の僕の彼女が、慌てて僕を呼びに来る。
何かあったらしかった。

僕はシャンプー後のリンスを流さないまま慌てて、とりあえず服だけを着て、玄関を出た。
同じフロアにすんでいた女性も、慌てて出て来ている。
とりあえずエレベーターは動いた。乗る。

マンションの1階へ下りると、煙が充満していた。
火事か?
でも火は見当たらない。
マンションの敷地を出て表へ出る。

外から見ると、その煙が出てくる場所が分かった。
1階の住居だった。

誰かが電話をしたのか、警報で自動で通報をしたのかは分からない。
程なくして消防車が、マンション近くに乗り付けてきた。
ここの道路は都内とは言え、大通りから一つは行った場所にあり、狭い。
消防車が来れば、それだけで道幅が埋まる。

消防車から隊員が下りてきて、煙が出ている部屋をノック。
誰かがいるらしかった。
しかし出てこない。隊員と口論。一悶着している。

恐らく、その人も気が動転して出て来られないのだろう。

程なくして、問題ないことが分かった。
どうも、魚か何かを焼いていたらしい。思いのほか煙が出たのか、その煙が原因で非常ベルが鳴ったようだった。
ほっとした。

こういった非常を知らせるセンサーは、いまやあちこちにある。
非常ベルもそうだが、監視カメラもその一種だし、会社内にある入退室管理も十年前に比べたら過剰なくらいに厳しい。

そして、僕の身体に付いてるセンサーも、なかなか敏感に反応する。

まずは、高校生くらいの頃からお付き合いのある花粉症。こいつとは腐れ縁でね。
毎年春になると、僕の元にやってくる。僕の花粉センサーは高性能。魚の煙を感知した警報器のように、その花子ちゃんの到来を知らせる。
おかげで仕事も生活も、睡眠さえも一苦労。
涙は出て、鼻をかみすぎて鼻の下も赤くなる。

ほんと、こういった敏感すぎるセンサーにはヤスリをかけてやりたい。
ヤスリと言えば、過去に何年間かは花粉の時期が近づくと、鼻の粘膜をレーザーで焼いた。
しかし今はやっていない。
効果はそれなりにあったのだが、それでも対処療法にすぎず、根治はしない。
自分の身体に傷を付ける、というその行為自体に疑問を感じから、と言うのもある。
今は良いけど、何十年後日に何らかの後遺症や悪影響が出ないとも限らない。

だから今は、舌下免疫療法をやっているのだけれどね。

もう一つ敏感なセンサーがある。
それは、対人関係。
人の反応に、必要以上に気を遣ってしまう、僕の心のセンサー。
まあ、おっさん歴も長くなると、ある程度その心のセンサーも摩耗してきてはいるのだけれどね。

このセンサーがもう少し鈍ければ、もっと人間関係を楽しく出来てのかも知れない。
言いたいことを人に言えて、人からの批判もさらりと交わし、自分の信じた道を行く。
もっと、対人センサーが鈍かったら良かったな、と、少し思う。

幸いにも、最近はその対人センサーも比較的鈍ってきたように思う。
ある程度嫌われても、とか、会社が首になってもいいや、とか、そういった半ば諦観の念もあるけれど、それでも前よりは生きやすくなったかな。

僕はもうオッサンだけれど、人生100年時代の今となっては、死ぬまではまだまだ長い。
人に気を遣わず、そろそろ自分の好きな道を行っても良いんじゃないかと思う。

ちょとやそっとの煙にはピクリともしない、火が出てようやく腰を上げる程度の、そんなセンサーが僕は欲しい。

これまで生きていく過程で、対人センサーは多少は摩耗したけれど。

もうすこし、センサーにヤスリを掛けてやりたい。
対人センサーにも、花粉センサーにも。

そういやね、この間耳鼻科に行ったときに聞いたのだけれど、もう花粉を感じる人が出てきたらしい。
僕より敏感なセンサーを持ってる人もいるんだなぁ。

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