三浦崇典さんの書くスピードを盗みたい
天狼院書店の三浦崇典さんは、ちょっぱやで3000字とか5000字とか、書いてしまうらしい。
その文章の書き方を惜しみなく公開してくれている「スピードライティング特別講座」へ、僕は行ってきた。
今日は二回目。
一回目は会場となっている書店内の全席が埋まるくらいに人が多かったのだけど、なんと今日は三人。
みんなオンラインで受講してるのかな。
おかげで、三浦崇典さんの話を間近で聞けるし、話すことも出来たのでラッキー。
実は聞きたいことがあった。三浦さんに。
スピードライティングは、練習さえ積めば可能なら40分で5000字までいくらしい。
だが、受講期間中の課題は2000字。20分で書くのが目標だが、それがなかなか難しい。
どこが難しいのか。大きく二つある。
- 書く内容に困る。ネタがなかなか思いつかない。
- 書き出しが難しい。どう書きだして良いか分からない
三浦崇典さんは一回目の講座の時に、こう言っていた。
何十年も前に考えていたことが、最近になってネタとなって文章になることがあると。
僕は疑問だった。
その何十年も前のネタは、どこから引っ張り出してくるのか。
記憶なのか、あるいは、どこかにまとめてあるのか。
何十年というのは極端な例にしても、ネタの蓄積はどうやっているのか、それを知りたかった。
ネタが見つかったら、ノートやPCのメモ帳などにまとめておく。そしていざ文章を書く段階となったら、ネタ帳を引っ張り出す。
……そう思っていた。だが違った。
三浦崇典さんは言う。メモなどはしていないよ、と。
覚えてるんですか?
書くときに思い出す。思い出せないネタは、その程度のネタ。
……だそうだ。加工とする段階で脳裏に浮かんでこなければ、書く価値がない、そういうことなのだろう。
「感動するようにしている」
三浦崇典さんはそう言った。
なるほど!
人は心動かされたことを記憶しやすい。
短期記憶を司る海馬の隣に扁桃体がある。
扁桃体は感情に関連する部位で、感動することで扁桃体が動けば、扁桃体の近くにある海馬の働きも活性化する。
僕の知り合いでとても記憶力がいい人がいたが、その人はとても喜怒哀楽の激しい人だった。
その喜怒哀楽が、その人の記憶力をさせ得ていたのだと思う。
まさに、海馬というノートに、扁桃体と感情の力で記録していくのだ。
三浦崇典さんはその瞬間瞬間に感動をすることで、出来事や知識を記憶。
そして文章を書くときに、その記憶が想起されるのだろう。
果たして僕は、ちゃんと感動しているだろうか。
嬉しいことだけではない。怒りでも悲しみなど、そう言った負の感情を押し殺してはいないだろうか。
仕事等のストレスで日々の生活が辛く感じ、我慢をする生活に慣れてきてしまうと、感情出すことを忘れてしまうのかも知れない。
感情を出さないと、記憶に結びつかない。
結びつかないと、日々の記憶が何も残らないまま、淡々と毎日を過ごすことになる。
ふと過去を振り返ったとき、記憶のない人生は、とてもショックだし、もったいないと思う。
もう一つ聞きたかったのは、書き出しの部分。
僕はスピードライティングの毎週の課題を作成するときに、どうしても書き出しで悩む。筆が進まない。
一度書き始めると中盤くらいから気分が乗ってきて、どんどん掛けることが多い。しかし、書き始めがしんどいのだ。
何を書こう、どうかこう、どうやって話を進めていこう。
色々考えている打ちに時間が経ち、何も書いていないのに、頭の中では堂々巡りで脳を使っているから疲れてくる。
そして、「今日はやめとこ」とっなたりもする。
だめじゃん。ここで諦めたら、きっと次も同じになっちゃう。
そんなときは無理矢理書く。無理矢理書いていくと、結構掛ける。不思議な物でね。
結局の所、書き始めたら悩まずに走りきるしかないのだ。
書く前にいくら悩んでも、何も出てこない。
下手な考え休むに似たり、ってね。
三浦崇典さんの場合は、ゲートが開く前の競馬の馬のごとく、「書きたい!(走りたい!)」と強く思うまでは書き出さないそう。
面白い文章を書くには、まず、毎日感動を。
そして、その感動を残すべく、筆を走らせよう。いや、キーボードを叩こう、かな。
笑って、起こって、泣いて、悲しんで……
そうやって毎日を感情豊かに過ごせば、毎日の記憶は鮮やかに蓄積される。
ふと過去を振り返ったときに、色とりどりの記憶で満たされている、そんな人生でありますように。