学びて時にこれを習う 教養

「禅」とは・・・日常生活。

「禅」とは、日常生活。
と、聞いたときに、最近読んだり勉強したりしたことのいくつかが、繋がったような気がした。

小田全宏先生のお話が聞ける「黎明塾」に行ってきた。
第14回目を数える今回は、「禅」について。(14回目だけど、僕は初参加。)

禅、と言われて「坐禅」しか思いつかない、そんな僕ですが。
しかし意識をしないだけで、多くの人が「禅」の精神には一度ならず触れたことがあるのだと思う。
なぜなら「禅」は特別な教えを説いているのではなく、「日常の生活を如何に送るか」についての考え方だから。

人は欲深い。欲深いが故に、現実とのギャップから「がっかり」したり落ち込んだり、悩んだりする。
もしそういった悩みを消す方法があるとするならば、「欲」を捨てること。

でも、「欲」を捨てろって言われると、どうしても反論したくもなる。
夢を持つなということか・・・とか
欲望があったから人は発展してきたんだ・・・とか
欲を捨てるなんて無理だ、と。

人は誰でも大なり小なり、自分の夢を持っていると思う。
でも、夢は思っているだけでは叶うことはない。紙に書いたって叶うことはない。
夢や願望をかなえることができるとは、ただ「行動」のみ。
壮大な夢をいくら思い描いたところで行動をしなければ、そんな夢は絵に描いた餅に過ぎなくなってしまう。

それならば、夢を叶えるための行動とは、なんだろう。

仮に、その夢を「資格試験の合格」としよう。(分かりやすいからね?)

この夢を達成するための「行動」とは・・・?
おそらく、「勉強」だという答えが大勢を占めるだろうね。
資格試験を合格するためには、勉強が必要だ。確かに。
毎日何時間か、それを長期間にわたって継続しなければならない。それは重要な行動だ。

でも、「勉強」のみを「特別な行動」として重要視してしまうと、もしかすると人によっては躓いてしまうこともあるかもしれない。

「勉強をする」という行動。その時間を捻出する為に・・・
睡眠時間を削ったらどうなるだろうか。
食事の時間を疎かにしたらどうなるだろうか。
大事な人との時間を蔑ろにしたらどうなるだろうか。

睡眠時間を削れば疲労で勉強に身が入らなくなり、食事を疎かにすれば身体を壊し、大事な人との関係を蔑ろにすれば人間関係の悩みを抱えるかもしれない。
そんな状況の陥って、果たして勉強ははかどり、夢や目標を達成できるのか。

夢や目標を達成するためには、「勉強」だけではなく、「睡眠」「食事」「人との関係」、その他のすべての行為が「特別な行動」なのだと思う。

夢の成就とは、ちいさいことの積み重ね。
日常生活の些細な時間を積み上げて。一瞬一瞬を蓄積して。
生活の中の全ての時間を「特別」なものと見なし、大切に、真剣に、その時間を過ごしていく。
その先に、夢の成就がある。

夢へは、一足飛びに到達できない。

「欲を捨てろ」とは、夢を持つなと言うことではないと、僕は考えている。
壮大な夢を持ち、それに向えばよいと思う。しかしだからこそ、日常生活の瞬間瞬間を大切に生きる必要があるのだと思う。
風呂に入る時間も。歯を磨く時間も。家族と会話をする時間も・・・全てが特別。全てを味わう。

夕食を摂るときは明日の仕事の仕事のことを考えたりせず、その夕食の時間を味わう。食べ物を味わう。
良い景色に巡り会えたら写真などは撮らずに、ただただ感動すればいい。心に焼き付ける。
眠りにつく前に感謝を。朝目覚めたその瞬間からキビキビ動く。

日常の中の全ての時間。それを蔑ろにして夢を叶えようとすることは、軟らかな地盤に基礎工事もせず高層マンションを建てようとすることと同じだと感じる。
その夢は建て終わる前に、倒壊するだろうね。

禅の話を聞いたとき、なんとなく八条目が思い浮かんだ。
四書の一つである「大学」に記された八条目。
「格物」「致知」「誠意」「正心」「修身」「斉家」「治国」「平天下」――。

この中の「格物」と「致知」。
「知を致すは物に格るにあり」――。
世界の物事について理をきわめつくす(格物)。そうすることで、知識をおしひろめる(致知)事が出来る。

つまり勉強でも何でも、あまり無理をしないほうが良いのかもしれない。
(睡眠や食事を削って身体に無理を強いるな、という意味で。努力を怠って良いという意味ではなく。)

無理が通れば道理が引っ込む。
この「道理」も「理」の一つとするなら、無理をすれば「格物」には至らず、「致知」にも届かない。
そうなれば、「誠意」「正心」「修身」は夢のまた夢。

夢や目標を達成するは、全ての時間を特別な物とし、懸命に生きていくことが大切なことなのだと思う。

「禅」とは、日常生活。

で、どうすれば日常生活における全ての時間を、「特別な時間」として実感することが出来るか・・・
「なぜ、働くのか」という著書が、そのヒントとなりそう。

では、今回はこんな感じで。

おしまい。

-学びて時にこれを習う, 教養
-,