北北西に曇と往け、その4巻。
1巻あたりでは大自然の中の透明な空気感を感じていたが、弟・三知嵩の登場で空気が変わってきた。
3巻では人も死に不穏な空気で満たされていたので、4巻ではどす黒く乾てくるかと思ったが……
予想に反して、三知嵩は行方知れずとなり、黒かった空気も薄まった。
安心したような、肩透かしを食ったような…
主人公の慧も、ヒロインのリリヤも、とても魅力的。
二人の相性はよさそうなのに、相変わらず喧嘩ばかり。
そんな二人のやり取りに、きゅんきゅんしちゃうわ(笑)
三知嵩は、なんだろう。
人を傷つける能力さえ持っていなければ、ちょっとわがままな、でも心優しい少年だったろうに。
変な能力を持ってしまったせいで、人からも、動物たちからも距離を置かれる。
4巻ではそんな三知嵩に、もの悲しさを感じた。
どうしていなくなったのか。どこに消えたのか。
不穏な空気は、次巻に先送り、かな。
入江亜季さんの絵は、ちょっと懐かしさを感じる。
昭和っぽいというか、一見すると昔の少女漫画の様は印象を、最初は持っていた。
でも、とてもきれいで、特にこの作品においては、アイスランドの大自然を体験しに、実際に行ってみてみたいと思わせられる。
僕はこの作品に漂う、透明な空気が好きだ。
登場人物の行動や、セリフ一つで、その空気の変化を読み手に感じさせる、この作品が好き。
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